魚あら施設、年度内完工見送り 【2004年1月9日】
2014/01/09
ニュース
地元の反対が続く魚あらリサイクル処理施設建設問題で、施工者の県水産物リサイクル事業協同組合(矢部清理事長)は九日、住民感情などに配慮して、計画通りの年度内完工を見送る考えを明らかにした。
矢部健一専務理事が「(建設を)やるのは間違いない」と前置きした上で「法的に問題はないが、あえて(反対を)押し切ってやることはしない。長い目でやる」と話した。計画通りの年度内完工については「急に和解できれば別だが、こだわらない」とした。
予定地のテクノポート福井はまだ県の所有で、土地譲渡契約の代金支払い期限だった昨年十二月九日、期限を一年間延長する変更契約を結んだことから「計画も一年延ばして、その間の早期に完成を目指すことになった」という。
矢部専務理事は「地元に配慮して譲歩しようということ。仕切り直しして、時間をかけて地元にはぜひ、理解してもらいたい」とも話した。
この問題では、組合が昨年十月二十九日に現地で起工式を行い、着工を試みたが、地元住民約二百四十人が人垣をつくって阻止。以降も住民が交代で座り込むなどしているため工事は進んでおらず、年度内完工は物理的に厳しくなっていた。
総工費約二十三億円のうち、国、県の補助金計約十一億円の執行期限は年度末。完工が先延ばしになれば、予定された補助金は受けられなくなる。このことについて同組合は「あらためて予算付けを求めたい」としている。
県農林水産振興課によると、国に予算要求するには住民と和解し、確実に完工できることが条件になるという。
組合側が年度内の完工を見送ったことに、地元の棗地区自治会連合会の高村三郎会長は「正月に矢部理事長があいさつに来たが、その話はしていなかった。地元が強く反対するのを、ある程度常識的に聞いたということではないか。組合はわれわれと話し合いたいのだろうが、建設ありきでは応じない。地元としては引き続き反対していく」と話している。
出典:福井新聞