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【ドイツ】化学大手BASFが廃タイヤ由来の熱分解油購入し再生原料に活用へ

2020/09/26

ニュース

ドイツの化学大手BASF(独・ルートヴィヒスハーフェン・アム・ライン)は9月1日、廃タイヤの熱分解を専門とするハンガリーのテクノロジー企業New Energy(洪・ブダペスト)と、使用済みプラスチック廃棄物である廃タイヤ由来の熱分解油を、年間最大4,000トン購入する契約を締結したと発表。

BASFは、New Energyから供給された熱分解油を、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンにある統合生産拠点(フェアブント)に投入し、化石資源の代替として製品の製造に使用する。パイロットフェーズでは、初回分の熱分解油を使用した最初の商用製品が製造され、2020年から市場に投入。また、BASFとNew Energyは、New Energyが有する独自の熱分解技術を、その他のプラスチック廃棄物のリサイクルに適応させることを目標とした、フィージビリティスタディ(実行可能性調査)の契約も締結。
BASFは、使用済みのプラスチック廃棄物を産業規模でケミカルリサイクルすることに焦点を当て、2018年に「ChemCyclingTM」プロジェクトを開始しており、今回の契約はその一環。

同プロジェクトのリーダー、クリスチャン・ラッハ氏は、「New Energyとの協業は、化学産業でリサイクル原料を使用したいというBASFの願いを強く示しており、プラスチックのサーキュラー・エコノミー(循環型経済)への移行に導くもの。機敏で革新的な企業とのパートナーシップは、こうした願いを達成するための鍵となる」と話している。

New Energyは、これまで処理不可能であったポリマー系と有機廃棄物を石油化学産業にとって有用な原料に転換する取り組みを実行中。廃タイヤを二次原料に戻す独自の技術を開発・商品化しており、熱分解プラントの運転において十数年の経験がある。同社のCEOであるViktor Varadi氏は、「私たちが目指すのは、環境への効果を定量化すること。一次化石資源の必要性を減らすということは、間違いなくこの目的を果たすことができるとともに、新たに製造される製品のカーボンフットプリントの削減にも役立つと考えている」としてる。

※廃タイヤは、ドイツ、欧州と国際標準化機構の規格であるDIN EN ISO 14021:2016-07が定義する、使用済みプラスチック廃棄物に該当。
 日本国内でも、廃タイヤは「廃プラスチック類」に該当。

■再生原料を用いて高性能製品を製造
ChemCyclingTMプロジェクトで引き続き注力しているのは、何もしなければ埋め立てまたは焼却されることになる、混合プラスチック廃棄物の使用。また、BASFは、廃タイヤのリサイクル率を高めるチャンスとしている。これまで、タイヤ由来の熱分解油をリサイクルして、高付加価値製品に応用する技術はなかったが、ラッハ氏は、BASFはこのプロジェクトにおいて、高性能製品の製造に使用できる第二のリサイクル原料の供給体制を確立したとしている。

再生原料の割合は、フェアブントで製造される一部の製品に、第三機関の監査を受けたマスバランス方式を用いて割り当てられる。こうして生まれた製品には、製品名の末尾に「CcycledTM」が付けられており、化石原料から製造された製品と全く同じ特性を保持しているため、従来製品と同様の加工が可能となり、自動車部品など、品質や性能に関して要求の高い用途への適用へと繋がる。

BASFは、2019年10月に、プラスチック廃棄物の熱分解と熱分解油の精製を専門とするノルウェーのQuantafuel(諾・オスロ)に出資し、パートナーシップを結んだ。同社のデンマーク スキーベにある商業規模の工場からも、間もなく混合プラスチック廃棄物由来の熱分解油が供給される。
また、BASFは5月に、ブロックチェーン技術を使用して物体の追跡を可能とする技術を持つ、オーストラリアのSecurity Matters(濠・メルボルン)と、プラスチックのトレーサビリティと循環型のソリューションを開発する共同開発契約を締結したと発表。

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