中国 21年から海外ごみ輸入全面禁止 違反に最大7600万円
2020/07/15
ニュース
中国政府は2021年から「海外ごみ」の国内への輸入を全面的に禁止を表明。中国生態環境省の劉友賓報道官は6月30日の定例の記者会見で、廃プラスチックなどの固形廃棄物の全面的な輸入禁止措置を来年から開始し、同省が関係手続きの受け付けを終了するとした。
海外で発生したごみの輸入禁止は、改正された「固形廃棄物環境汚染防止法」が9月1日に施行されることが影響している。同法は固形廃棄物の違法輸入であることが疑われる貨物の検査や違法に持ち込まれた海外ごみの送り返し、荷主の処罰などの手順を規定し、罰則・罰金が大幅に強化された法律となっている。
万が一、違法輸入が発覚して税関に返品を命じられた場合、50万元以上500万元以下(約760万円以上7600万円以下)の罰金となる。さらに、荷主だけでなく通関業者も連帯責任を負うという厳しいものに。
中国国務院は2017年7月に海外ごみの輸入禁止に向けた実施計画を発表し、輸入手続きの監督強化と輸入量の削減を継続している。劉報道官によれば、2020年1~5月の固形廃棄物の輸入量は322万6000トンと、前年同期比45.3%にまで減少。
生態環境省は下半期も金属スクラップを含む固形廃棄物の輸入削減を引き続き進め、年末までに輸入量を実質ゼロにすることを目指し、そのうえで、輸入に必要な関係手続きの受け付けを年明けに打ち切る方針。
海外ごみの中国への輸入は、1980年代に国内の工業用原料の不足を補うために開始された。
その後、中央政府は環境汚染や健康被害などを防ぐための法整備や監督体制づくりを進めてきたが、一部の地方では環境保護より経済発展を優先する考えが根強く、利益のために海外ごみの密輸に走る悪質企業も絶えなず大きな課題となっていた。
今回の法改正を機に、政府は違法輸入の根絶に向けて通関、輸送、利用などの各段階の管理・監督をよりいっそう強化を目指すという。