能代港:リサイクルポート、経済効果高めよう 振興会、三セク設立に熱意 /秋田
2008/03/11
ニュース
県北部の海の玄関口である能代港が、総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)に指定され、1年2カ月が経過した。港の経済効果を高めるため、エコタウン計画が進む県北部の自治体や団体、企業などでつくる能代港湾振興会(会長・斉藤滋宣能代市長)は、港周辺への関連施設整備に向け、年内にも自治体と企業などが出資する第三セクター会社の設立を目指す。「地元の熱意を」と、能代商工会議所(広幡信悦会頭)も独自に設置した港利活用促進懇談会で、突っ込んだ話し合いを続けている。
リサイクルポートは、リサイクル可能な廃棄物の流通(静脈物流)の拠点港で、能代港が県内唯一、国から指定されたのは06年12月。指定後の07年1月からDOWAエコシステム(本社・東京)が広島、愛知両県などの自治体や事業所が排出した約8800トンもの汚染土壌を試験的に荷揚げしたのに続き、今年は年明け早々から本格的荷揚げを開始した。
能代港はもともと、東北電力能代火力発電所の燃料となる米国などからの石炭と、北米やロシア、インドネシアなどからの原木輸入が主体で、中でも石炭は取り扱い貨物の約9割を占める。これまで利活用の面では取り組みが遅れた経緯があり、施設面からのリサイクルポート環境づくりは大きな課題となっている。
「振興会」は、施設整備は関連企業の新規立地に弾みをつけるうえで不可欠として、三セク設立を契機に国の補助制度を導入し、2009年度に港周辺にストックヤードや保管施設、クレーン施設の整備を目指す。三セク設立に東北電力から能代市、山本郡などの自治体に寄付された火力協力金7億円の一部を充てるとしている。
施設整備は、処理需要が高まっている汚染土壌に加え、「都市鉱石」ともいわれる使用済み携帯電話などの廃電子基盤に含まれる金属回収に向け、将来的にはアジアからの都市鉱石の輸入を見込んだ中間処理会社の立地が港周辺に見込まれるとして、「振興会」は一連の取り組みを強化することにしている。
一方、能代商議所は1月の正副会頭・各部会長懇談会で、能代港について災害時の緊急対策物資備蓄基地化を提言。また、運輸、建設、リサイクルなどの関連業界が参加して開いた港利活用促進懇や、ワーキング委員会で、港活用策をテーマに広く意見を交換。今後は三セクへの出資や、施設整備への補助制度などについてさらに理解を深める。
斉藤市長は「県北部の雇用や経済に強いインパクトを与えられるよう官民一体となって取り組みを強化していきたい」と、能代港の利活用を強調する。