第29回コンビニエンスストア調査―「エコ目標」達成に腐心。
2008/07/23
ニュース
成長の踊り場に立つコンビニエンスストアには、解決すべき課題が山積している。環境意識の高まりの中、食品リサイクル率の向上が法律で義務化。オーナーやアルバイトの慢性的な不足問題も再成長を軌道に乗せる大きな壁となる。激変する経営環境への対応力が問われている。
二〇〇七年十二月に施行された改正食品リサイクル法は、小売業に二〇一二年度までに食品廃棄物のリサイクル率を四五%まで引き上げることを求めている。ただ現時点では大半のコンビニが二〇―三〇%にとどまっているとみられ、各社はリサイクル率の引き上げに本腰を入れ始めた。
「食品リサイクルのための方法」を尋ねたところ、回答のあった十七社のうち、十三社が「廃棄食品を肥料にリサイクル」と「飼料にリサイクル」を選択した。各社はリサイクルループの実施や、廃棄物リサイクルの対象エリアの拡大を検討している。
セブン―イレブン・ジャパンは〇七年九月から東京二十三区内で展開する店舗から排出される食品廃棄物を飼料化する取り組みを開始。北海道では店舗で排出される廃食油をバイオディーゼル燃料に再生し、配送車に使う実験を実施中だ。
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ミニストップは四月、関東地区と静岡県の一部で「プチメンチカツのり弁当」を発売した。ミニストップの店頭から出された販売期限の切れた弁当やおにぎりなどを「エコフィード」と呼ぶ飼料に転換。供給した養豚農家が生産した豚を使ってメンチカツを作りあげた。廃棄物を利用して生産した商品を販売するリサイクルループだ。
リサイクル率を高めるには、計算式の分母にあたる廃棄量を減らすことも重要。だが商品の廃棄率が五年前と比べて変わったかとの問いに対しては、回答二十四社のうち「変わらない」が十三社で最も多く、「増えた」も五社あった。「減った」は六社だけだが、環境問題に関する消費者の視線が厳しくなっていることを考えると、廃棄率の低減は今後の大きな課題になるといえそうだ。
買い物袋を持たずに立ち寄ることが多いコンビニだけに対応が難しいのがレジ袋の削減。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が定めた、レジ袋を二〇〇七年度に〇〇年度比二四%削減目標を達成できたかとの質問に対しては、二十三社のうち、十五社が「達成できなかった」と答え、「達成した」の八社を大きく上回った。
削減目標の最終年度である一〇年度に三五%を削減することに対しても、四割超が「難しそうだ」「非常に難しそうだ」と回答した。
スーパーと異なり、有料化が難しいコンビニ業界が採用しているレジ袋削減策は来店客への「声かけ」。〇七年度に入り、各社とも声のかけ方を工夫し始めている。
以前は飲み物一本など購入点数が少ない客に対しては、「レジ袋はご利用ですか?」と声をかけていた。この声かけでは無意識に「はい」と答えるケースが多い。この反省を生かして最近では「このままでよろしいですか?」という言葉に変わってきている。
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JFAも今月から来店客にレジ袋の辞退を促す店頭販促(POP)を設置するキャンペーンを開始。加盟する十二社四万二千店で実施している。
二酸化炭素(CO2)の排出削減が叫ばれるなか、どのような環境対策を実施しているかを尋ねたところ、多かったのが「店舗資材、什器(じゅうき)の再利用」。二十九社中二十三社と三分の二以上の企業が再利用している。店舗スクラップなどの際に出る壁材などを新店に活用しているケースが多い。
このほか「配送方法の見直しによる配送車の削減」や「冷暖房の設定温度見直し」を半数以上の企業が実施している。なるべくコストをかけずに、身近なところから環境対策に取り組もうとする姿が浮かび上がった。
出典:日経MJ(流通新聞)