白ナンバーでPCB廃棄物運搬 国交省と環境省で綱引き?
2008/05/12
ニュース
国から委託され、有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)の無害化処理事業を実施している「日本環境安全事業」大阪事業所(大阪市此花区)で、PCB廃棄物を搬入している17社(24台)のうち5社(8台)が自家用の「白ナンバー」でトラックを使用していることが11日、わかった。国土交通省近畿運輸局は「運送業務を行うには営業用の『青ナンバー』の取得が必要」と貨物自動車運送事業法(運送業法)違反の可能性を指摘しており、近く実態調査に乗り出す。
大阪事業所によると、PCB廃棄物を搬入しているのは全部で17社(24台)で、大手の運送会社や電気工事会社、廃棄物収集業者など大小さまざま。このうち運送業法に従い青ナンバーを取得しているのは12社(16台)で、残りの5社(8台)は白ナンバーによる運送を行っている。
業界関係者によると、「現場では青ナンバーと白ナンバーが入り乱れて出入りしているのが実態」。背景には、廃棄物の運送で安全性を確保するため、一般の運送業と同様に青ナンバーで統一したい国交省と、これまで白ナンバーで運送してきた零細業者も多く、業界の反発を回避したい環境省との間で「微妙な綱引き」があるとされている。
そもそもPCBは昭和47年以降、政府が製造や使用を禁じた。日本環境安全事業は、各地の事業所などで保管されているPCB廃棄物を平成28年までに処理するため、16年4月に政府の全額出資で設立された。処理施設が全国5カ所にあり、大阪事業所は18年10月から、近畿分の処理を一手に引き受けている。