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汚泥の含水量12%削減、産廃量減、再生利用促す(進化する建設技術)ー奥村組

2008/07/31

ニュース

奥村組はダム工事などで発生するヘドロや泥水(スラリー)をスクリューの回転で脱水処理するシステムを開発した。従来のしくみよりも処理土の含水量を一割強多く減らせるため、産業廃棄物の容量を減らせるほか、再生利用を促す効果もある。ダム工事以外にも浄水場の浄水汚泥処理や河川のしゅんせつに応用する機会を拡大する。

 建設工事現場から発生するスラリーは一般的に、砂れきを分離する工程(一次処理)と脱水する工程(二次処理)を経て、最終的に粘土状の処理土にする。処理土は産業廃棄物として処分するケースが多い。
 今回同社が開発した「奥村式スラリー連続脱水システム」は、この二次処理工程での脱水量を多くできるのが特徴。スラリーを巻き上げ、圧力で水分を絞るスクリュープレス機で脱水するしくみ。土の粒子を集めて水分と分離させる凝集剤も従来より強力なタイプを採用した。

 この凝集剤は「中性で、有害性もなく環境負荷はない」(技術本部の中村誠喜都市トンネルグループ長)という。

 スラリーを布で挟み圧力をかけることで脱水する従来方式のフィルタープレスに比べ、処理土の含水量を一二%低減できる。処理土の容量は四%減るため、産業廃棄物の量を減らせる。

 作業に必要な運転員を減らすこともでき、工事費用を抑える効果もある。同システムは無人でもスクリューが回り続ける限り脱水工程を連続してできるからだ。フィルタープレス方式では、水分を絞る工程が終わるたびに、布から処理土を落とす作業や布の洗浄が必要で、その分人員が余分に必要だった。

 「黒岳沢川第一号ダム除石工事(北海道上川町)」で横型スクリュープレス機を導入。「寝屋川流域下水道 飛行場南増補幹線(第三工区)下水管渠築造工事(大阪府八尾市)」では、同社が日本で初めて開発した縦型のスクリュープレス機を試験的に取り入れた。

 横型横型スクリュープレス機に比べ設置面積が一二%少なくてすむ。そのため大都市圏での下水道工事など、広いスペースのない環境でも工事が可能になる。
 産業廃棄物として処理されることの多い処理土だが、奥村式スラリー連続脱水システムを使えば再生利用が促されそう。

 従来よりも多くの水分が絞り出されるため処理土の固さ、強度が増し、埋め戻しや埋め立て、堤防工事などに活用できる可能性がある。産業廃棄物として捨てられるしかなかった処理土の有効活用に新たな可能性を開いた格好だ。

 奥村組は今後、すでに導入したダム除石工事や下水道管のシールド工事以外にも、利用を拡大する考え。同社が受注する浄水場の浄水汚泥処理や河川のしゅんせつ(底さらい)といった土木工事でも応用可能。水力発電ダムでは、発電能力確保のための汚泥処理にも活用できる場面があるとみている。

出典:日経産業新聞

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