外食店、コスト切り詰め、ダイナック、取扱品目3分の2に
2008/07/04
ニュース
原材料価格の高騰に対応し、外食各社が相次いで食材調達やメニューなどを見直している。ダイナックは取扱品目を約三分の一減らす一方、ダイヤモンドダイニングは今春から食用油のリサイクルの実験に取り組む。市場低迷で店頭価格への転嫁は難しく、売上高に占める比率が約三割といわれる原材料費を質を落とさないように切りつめる工夫が問われている。
ダイナックは「響」や「鳥どり」など約七十業態を対象に九月までの一年間で、昨年九月時点で三万六十三品目あった食材の取扱品目を一万品目削減する取り組みを進めている。例えば、複数の種類があるしょうゆなどを絞り込んだり、エビなどの食材について内容量をそろえた袋に共通化したりしている。これによって取引先の集約に伴う一品当たりの仕入れ量拡大が進み、原材料費を低減できるという。
さらに同社はメニュー政策も見直している。具体的には価格が高騰しているチーズを使わないメニューを開発したり、メーン料理でわきに添えるポテトをキャベツに切り替えたりしている。
二〇〇八年九月期は品目数の削減などの購買プロジェクトで一億四千万円、メニュー政策で四千万円のコスト削減効果を見込む。この結果、今期の食材の原価率は二八・三%と一年前比〇・二ポイント低下するとみている。
ダイヤモンドダイニングは食用油の高騰に対応し、今春から東京・立川などの二店舗を対象に使用済みの油をろ過して再使用する実験に取り組んでいる。費用対効果など見極め、他の店舗への導入を検討する。また価格が高騰するバターを使ったバターしょうゆいためといったメニューをコースから外している。
つぼ八は例年実施している十月のメニュー改定に向けて、食材コストがかさむメニューについて打ち切るか、値上げをするか検討中だ。
調達方法を見直す動きもある。コロワイドが牛肉やマグロ、野菜など業態間で食材の共有化を進めている。業態によって必要となる使用部位を使い分けることで、廃棄ロスを抑える。
アスラポート・ダイニングは他の複数の外食企業と組み、食材の共同調達などに乗り出す方向で調整している。それぞれの企業の強みに応じ、肉や魚など食材の調達を分担する内容だ。今秋の実施を目指す。
日経MJがまとめた飲食業調査によると、一年前に比べ仕入れコストが上昇したと回答した企業は八〇%を超えた。食材価格の高騰に一段と拍車がかかるようなら、こうした見直しや、業界の再編につながる可能性もある。
出典:日経MJ(流通新聞), 15ページ