今西製作所、鋳物生産で環境対応、人工砂使い粉じん少なく
2008/09/03
ニュース
自動車の生産設備や金型、鋳造品などを製造する今西製作所(広島市、今西寛文社長)は、海田工場(広島県海田町)の鋳造品生産で環境対応を強化する。材料である鋳物用の砂に、粉じんの量が少なくリサイクル率も高い人工砂を導入。環境負荷を減らし、従業員の負担も軽減する。年内に置き換えを始める。
人工砂の購入コストは従来の数倍するが、再利用できず廃棄物となる砂の処理コストの低減、作業環境の改善などが見込めるため「トータルでは採算は合う」(今西社長)と見ている。人工砂への変更は広島県内の中小鋳物メーカーでは珍しいという。
海田工場では産業機械や金型用素材に使う鋳造品を製造している。今後三―四年をかけて数億円を投資し、老朽設備の更新・補修やレイアウトの変更も進めて生産性向上につなげる計画。鋳物メーカーは材料費の高騰などで経営環境が厳しくなっているため、強みである高付加価値の多品種少量生産体制を強化したい考えだ。
鋳物の成型には、砂をバインダーという樹脂で固めた型を使う。
鋳物を成型した後に砂を崩す仕組みだが、現在使っている一般的な「硅砂(けいしゃ)」は崩す時にバインダーと絡み合ってしまうという問題があり、砂のリサイクル率は七割程度にとどまっていた。
人工砂は従来の砂よりも細かい粒になっているため破砕に対する耐性が高く、バインダーと離れやすいために九割近くがリサイクルできる。作業時に出る粉じんが少なく作業環境も改善する。
出典:日本経済新聞