セブン&アイ、農業生産6倍
2008/10/23
ニュース
セブン&アイ・ホールディングスは千葉県富里市に続き、神奈川と埼玉で農作物の生産に乗り出す。来春にも両県に農業生産法人を設立する。農場を現状の4倍の約8ヘクタールに一気に拡大、3県にある傘下のスーパー、イトーヨーカ堂全店舗で野菜を販売する。コメ生産の検討にも入った。流通大手ではイオンが委託生産品を販売しているが、セブンは直営農場で品質管理を徹底。高まる食の安全・安心志向への対応を急ぐ。
埼玉と神奈川の農業法人は千葉と同様に原則、地域の農家や農協に出資を募り、セブンが10%出資して設立する。各県内にあるイトーヨーカ堂店舗から出る食品ゴミを提携する食品リサイクル工場に送って堆肥(たいひ)を生産。直営農場で再利用する「循環型」農業の枠組みは維持する。
生産・販売する野菜はダイコンやキャベツ、ブロッコリー、ニンジンなどで、埼玉、神奈川の各4店で販売する。埼玉では来年6月にも販売を開始、順次千葉も含めた全73店に広げる。品質には問題がないが見た目の悪い野菜も、「規格外」商品と断ったうえで安値で販売する。直営農場とは別に提携する農家の野菜を含め、同スーパーの3県の野菜売り場全体の3割程度の売り上げを見込む。
8月に設立した千葉の農業法人「セブンファーム富里」だけで2009年8月までの1年間に130トンを生産、3年後に売上高1800万円を計画している。埼玉、神奈川を加えることで年間生産量は500トン超に拡大し、売上高も大幅に増やす。
千葉では自治体の認定による特例を活用して、セブンファームへの出資比率を来年明けにも現在の10%から49%まで引き上げる。効率的な生産体制の構築などに向け、連携を強化する狙い。
別の農業生産法人を立ち上げてコメの生産にも乗り出す。コメはプライベートブランド(PB=自主企画)の「セブンプレミアム」で販売する予定。候補地を選ぶなど生産に向けた本格的な検討に入っている。
出典:日経速報ニュース