下水汚泥のリサイクル加速 昨年度は過去最高の76%
2013/01/10
ニュース
福井県内の下水処理場から出る下水汚泥のリサイクル率が昨年度、76%に達し過去最高となった。この5年間は70%台を維持しており、セメント原料などとして受け入れている民間企業の技術向上が数字を押し上げている。県は汚泥を固形燃料化するなど新たな活用策に注目しており、さらなる資源循環を目指す。
2011年度の下水汚泥は9市8町1事務組合の処理場の総量が約3万4千トン。約2万6千トンがリサイクルされた。10年前の01年度のリサイクル率は39%にとどまっており、飛躍的に伸びた。
利活用はセメント原料や建設資材への転用のほか、有機分を発酵させて肥料として使う方法がある。セメントや建設資材は県内外の構造物に活用され、肥料は農地や公共事業による緑化の対象地などで用いられている。
下水には工場由来の有害物質も含まれているが、県河川課によるといずれも製品の基準をクリアしているという。
さらに、リサイクル率を上げる要素として県は、第三セクター県産廃処理公社(福井市)の処理に期待を寄せている。同公社から業務を請け負っている福井資源化工が、現在は埋め立てている焼却汚泥の灰を、発酵、乾燥させることで固形燃料にする技術を開発したためだ。公社は汚泥総量の約9%を処理しており、県河川課は実用化すればリサイクル率は「80%を超える」とみている。
また県九頭竜川浄化センターは14年度、汚泥の処理過程で出るガスをタンクにため、燃やして発電する設備を県内で初めて整える。施設の電力をカバーできるという。
県河川課は「汚泥が廃棄物の総量に占める割合はわずかだが、資源に変わりはない。持続可能な社会づくりに向けて取り組みを続ける」と話している。
出典:福井新聞