運搬業者からも聴取へ/利根川水系汚染
2012/05/28
ニュース
◇県、委託内容を調査
利根川水系の汚染問題で、県は原因物質とされるヘキサメチレンテトラミン(HMT)を含んだ廃液を、排出元から処理業者に運搬した横浜市に本拠を置く業者が詳しい事情を知っているとみて、廃棄物処理法に基づき委託内容の報告を求める方針を固めた。
県は、排出元を本庄市の化学メーカー「DOWAハイテック」と特定。同社から工場廃液の処理を依頼された群馬県高崎市内の産廃業者が処理を十分しないまま、利根川支流に流したとみている。
これまでの県などの調べに、DOWAは「原因物質が廃液に含まれていることは産廃業者に伝えなかった。告知しなくても、業界の常識で当然知っていると考えていた」と主張。これに対し、産廃業者は「HMTが含まれていると事前に聞かされていれば、処理は断った」としている。
県は、DOWAに廃棄物処理法で定めた告知義務違反がなかったかどうかを調べる一方で、実際に廃液を運んだ業者が何らかの事情を知っているとみて、本格調査に乗り出す。
DOWAは流出元とされた産廃業者と同時期に、同じ高崎市内の別の産廃業者にも廃液処理を依頼した。
だが、こちらは問題が起きていない。この別の産廃業者は朝日新聞の取材に「運搬業者からは廃液処理に関し、河川には放流せず、最終処理には焼却が必要と言われ、そう対処した」と説明している。一方、こうした手順について、流出元とされた産廃業者は県などの調べに「DOWAだけでなく運搬業者からも聞かされていない」と話している。
二つの産廃業者に廃液を運んだ業者は同じ。このため県は、運搬業者が異なる対応を取った可能性もあるとみて理由を聞いた上で、排出元からの委託内容のくわしい報告を求め、全容解明を目指す。
県から排出元と名指しされたDOWAは、25日に社名を公表されてから「社内調査中」として27日夕までに社としての正式な見解を示していない。
◇DOWAハイテック
非鉄金属大手「DOWAホールディングス」(東京都千代田区)のグループ企業。電子部品に使う銀粉製造やめっき加工を手がけ、従業員は約200人。工場周辺の環境美化活動が評価され、2010年度には県「さいたま環境賞」を受賞している。
出典:朝日新聞