水道水「残渣」を一石二鳥の商品化 栄養素多く園芸用の土に
2010/03/09
環境省
大阪府水道部が、水道水を浄水する過程で沈殿する濁り成分「水道残渣(ざんさ)」を園芸用として商品化したところ、園芸業者などから「植物の生育に好影響が出た」と予想以上の好評を得ている。
平成21年度は600トンだった注文量が、22年度には予約分が2600トンと4.3倍に急増。産業廃棄物として処理していた従来は1トンあたり1万円の費用がかかっていたが、商品化することで1トンあたり100~200円の利益を生み出しており、リサイクルと費用節約という“一石二鳥”の効果をあげている。
水道残渣は浄水過程で生じた水の濁り成分を集めて土状にしたもので、リン酸や窒素など栄養素が多く、比重が軽いのが特徴。粒が大きいもので直径2センチ程度もあることから土の中にすき間ができやすく、根にも優しい。府の実証実験でも、通常の土で育てた芝生やキクと比較して、水道残渣の方がより早く大きく育ったという。
このため、高温乾燥して消毒し、園芸用に「あくあふれん土」として商品化。18年度から園芸業者などに販売を始めた。
21年7月からは自治体管理の公園などにも無償提供を始めたところ、効果が口コミなどで広まり、注文が急増した。
水道残渣はこれまで産業廃棄物として海洋廃棄されていたが、処理費用として1トンあたり約1万円がかかっていた。処理費用は毎年2億円以上に上っていたが、今回の商品化で、21年度は6千万円以上の削減効果があった。
府水道部の担当者は「水道残渣はもともと川の底にあった土で、安全性は証明済み。もっと知名度をあげて注文を増やし、経費削減につなげたい」と話している。
出典:産経ニュース