<伊奈波神社>左義長紛れて不法投棄
2010/01/20
ニュース
無病息災を願う神事「左義長」に奉納するお守りなどを集めた場所に、家電製品や家庭ごみを捨てていく「不届き者」が後を絶たない。岐阜市の伊奈波神社では、10年以上前から不法投棄に頭を悩ませており、「神聖な場所を汚さないで」と訴えている。
左義長は、神前でおはらいをした火でお守りなどを焼く伝統的な神事。この神社では、毎年1月17日に行う。鳥居前の広場には、木の枠で囲った4メートル四方ほどの場所があり、昨年末から参拝客らが、前年に買ったお守りや破魔矢などを納めている。
ところが、高さ約3メートルに積み上がった山に近づいてみると、カレンダーや写真、鏡餅の形をしたプラスチック製の容器などを見つけた。炊飯ジャーまであった。通りかかった男性は、捨てられていた猿のぬいぐるみを見て、「昔はこんなことはなかった」と、こぼした。
18日は、清掃業者と神社職員の約10人が3時間ほどかけて片付けたごみで、2トントラック4台がいっぱいになった。
奉納品とほぼ同じ量で、毎年、このぐらいのごみが勝手に捨てられているという。撤去費用は神社の負担だ。
伊奈波神社によると、1998年ごろから粗大ごみが捨てられるようになったという。この年から、岐阜市で一般粗大ごみの回収が有料になった。過去には、冷蔵庫やテレビ、パソコンなどの家電製品から、仏壇、骨つぼ、入れ歯まで捨てられていたことも。
近所の人から「市郊外の業者が、客から引き取った家電製品を夜に運び入れている」という報告を受けたこともあった。
こうした不法投棄を防ごうと、99年に「産業廃棄物等の投棄は犯罪となります」と書いた看板が境内に立てられた。4年ほど前からは防犯カメラでも監視している。だが、不法投棄はいっこうに減らない。
伊奈波神社の広報担当者は「一部の不届き者のせいで、お守りやしめ飾りまで、ごみと同じように見られるのはつらい」と話す。17日の左義長に立ち会っていた神社の職員は「できれば、この行事をやめたいぐらい。でも、ちゃんと無病息災を願う人のためにやめられない」。そう言って左義長の火に手をかざす家族連れを見つめていた。
一般廃棄物の不法投棄は、悪質な場合懲役5年以下、もしくは1千万円以下の罰金に処せられる可能性があるという。
出典:asahi.com