「ごみゼロ」 住民みんなで
2009/08/11
ニュース
無駄、浪費のない、ごみをなくす社会をつくるために日々の生活を見直そう。「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)」と呼ばれる理念が全国で広がりつつある。
四国の山あいの町をめざして観光バスが走る。徳島県上勝町にはいま、全国から研究者や議員らがひっきりなしに訪れている。人口約2000人の小さな町に、昨年は約2500人がごみ問題の視察にやって来た。
上勝町は2003年、全国初の「ゼロ・ウェイスト」を宣言した。ごみの再利用や再資源化を進め、20年までに焼却・埋め立て処分をなくすことをめざしている。
ごみ収集車は走っていない。住民が自ら、町の「ゴミステーション」に持ち込む。分別収集の品目は34種類に細分化。「スチール缶→建設用資材」「ペットボトル→繊維・シート」「蛍光灯→断熱材」「雑誌→おかし等の箱」……。分別後の行き先を記した容器に入れていく。
分別の手伝いをしている舟井康雄さん(66)は「かつてはごみを山に不法投棄する人もいて困っていた。最初は面倒だと言う人もいたが、今は喜んで協力してくれる」と話す。
「ゼロ・ウェイスト」は1996年、オーストラリアの首都・キャンベラが宣言し、米国やカナダなどの自治体が続いた。日本では上勝町に次いで福岡県大木町が昨年3月に宣言。バイオガスプラントで生ごみなどを発酵させ、エネルギーや有機肥料として再利用している。06年に稼働するとごみ処理量は半分近くに減った。
東京都町田市や神奈川県葉山町など首都圏でも「ゼロ・ウェイスト」をめざす動きがある。各地で進む〈ごみゼロ社会〉のシステム作りが、住民一人一人のごみに対する認識を少しずつ変えつつある。
出典:読売新聞