廃プラ、循環利用は半分(気になる真実)
2009/03/25
環境省
「プラスチックはプラスチック製品に戻すのが好ましい」との論法で、自治体などが集める廃プラスチックは、優先的に製品素材に戻す循環に回される。輸送用パレットや園芸資材などの新しいプラスチック製品に生まれ変わる過程で、使えるのは廃プラのわずか半分弱。残りは廃棄物になる。資源循環が廃棄物を再生産する皮肉な現象が生じている。
廃プラにはポリプロピレンやポリエチレンなど様々な素材が混ざっており、混ぜて溶かすと、くすんだ色になる。「不純物も完全には取りきれず、付加価値の高い製品は作れない」(材料リサイクル事業者)
化学原料や製鉄の還元剤など、廃棄物が出にくい利用法もあるが、そのルートが広がる気配はない。各地で行われる廃プラ入札では、まず製品素材にリサイクルする事業者を対象とした入札があり、入札者がいない場合に限り、化学や製鉄会社などに門戸が開かれる。「売ってくれるだけ使うのに」(化学メーカー)という声は届かない。
日本容器包装リサイクル協会は、2008年度から規定を変更し、廃プラリサイクルの過程で出る廃棄物の単純焼却を禁止した。だが依然として廃棄物の多くは燃料用途にしかならない。廃プラという「資源」を最も有効に利用できる方策は何か。プラスチックの循環利用という理想に向けたハードルはまだ高いままだ。
出典:日経産業新聞