鉄スクラップ、東阪で1万円割れ、低級品は回収料金徴収も
2008/11/06
ニュース
鉄鋼原料となる鉄スクラップの価格が一段と下落し、六年半ぶりに一トン一万円を切った。指標品のH2は東京で前週比四千円安い八千―九千円。低級品では一部業者が発生元から無償で引き取ったり、料金を徴収したりする例が出ている。
大阪のH2は前週比二千五百円安い九千―一万円。電炉最大手の東京製鉄が五日から買値を千―二千円下げ、他の電炉も追随した。東阪ともに、七月の過去最高値に比べると六万円強安い。
世界的な鉄鋼需要の減退を映し、電炉の鉄スクラップ購入意欲は低調だ。韓国や中国への輸出は停滞し、国内電炉は鋼材を減産している。増産のため転炉への投入量を増やしてきた高炉も買いを抑えている。
現在の価格は鉄スクラップ業者の回収コストを割り込んでいるようだ。空き缶などから再利用する低級品では、発生元から料金を徴収する「逆有償」が一部に出ている。「値下がりが続けば月内には全業者が逆有償に踏み切る」(関西の鉄スクラップ業者)。「リサイクルが滞り、不法投棄など社会問題に発展しかねない」(都内の商社)との声も出ている。
出典:日本経済新聞