使用済みペットボトル、ボトルに再利用休止、帝人、調達単価上昇響く
2008/10/03
ニュース
帝人は二日、使用済みペットボトルから新しいボトルの原料を生産するリサイクル事業を休止すると発表した。使用済みボトルの調達単価が上昇したほか、再生ボトルの価格が低迷。「入り口」と「出口」の両方で行き詰まった。政府はボトルが循環するリサイクルを支援してきたが、ペットボトルの循環リサイクルに取り組むのは、帝人など二社のみ。帝人の撤退で、リサイクルの仕組みは再考を迫られる。
帝人ファイバー徳山事業所(山口県周南市)の設備は廃棄せず、使用済みペットボトルから再生繊維を作るリサイクル事業を続ける方針だ。再生繊維は通常の繊維よりも二―五割割高なうえ、ボトルよりも繊維へのリサイクルの方が工程が少なく、コストを抑制できるという。
今年度は使用済みペットボトルを入手できず、六月以降工場を停止していた。産業廃棄物処理会社などから使用済みペットボトルを調達し、事業の早期再開を目指す。
ペットボトルの循環利用を促すため、政府は二〇〇三年度から自治体が回収した使用済みボトルが優先的に循環リサイクル事業者に回る制度を作り、リサイクル事業者を支援してきた。しかしその後の原料価格高騰で使用済みボトルの需給が逼迫(ひっぱく)。〇六年度以降はリサイクル業者が逆に金を払ってボトルを買い取る状態が続き、採算が悪化していた。
出展:日経産業新聞