日本最大級の産業廃棄物処理業者・リサイクル業者検索サイトです。

0120-33-8508

受付時間:10:00~18:00 (土日祝日除く)

エコノハサーチ

スマホ版メニュー

原料リサイクルに力、素材各社、原燃料高受け――樹脂や繊維、量産化に課題も。

2008/09/27

ニュース

 素材各社が樹脂や繊維などの製品を原料に戻すリサイクル事業に力を入れている。これまで技術やコスト、回収ルートなど課題が多く普及が遅れていたが、原燃料価格の全般的な高止まりを背景に、コスト削減効果に対する期待が高まっている。

 三菱レイヨンは富山事業所(富山市)に今年、アクリル樹脂を原料のメタクリル酸メチル(MMA)モノマーに戻す実証設備を開設した。
 MMAモノマーは石油由来の化学材料で、看板や液晶部品などに使われるアクリル樹脂のほかコーティング材料や各種化学品など幅広い用途を持つ。アクリル樹脂は約三百度で熱分解され、MMAモノマーに戻る性質がある。

 三菱レイヨンは以前から工場内で排出されたアクリル樹脂の廃材を熱分解し、リサイクルしていた。ただし、廃材を釜に入れて温めるやり方だったため、「連続運転ができず、熱の伝導効率も悪かった」(同社)という。

 実証設備では分解槽と呼ばれるタンクに、高温で熱した砂とアクリル樹脂を一緒に混ぜ込む手法を採用した。アクリル樹脂はタンク内で熱分解されて気化。一方、砂はスクリュー状の部品でタンクの内外を循環し、タンク内が常に高温に保たれる仕組みだ。これによって連続運転が可能になった。

 同社は二〇〇七年度で年間二十一万七千トンのMMAモノマーを生産する国内最大手。実証設備の稼働率は今のところ五割程度だが、フル稼働すれば年間二千トンのMMAモノマーが再生できる。年間生産量の約一%がリサイクルでまかなえる計算になる。

 衣料用繊維でもリサイクル事業が広がっている。先行するのは帝人。ペットボトルを再利用する技術を基に〇二年、作業服などの業務用衣類を原料のポリエステルに戻して再生する事業を始めた。

 〇五年からは一般用衣類にも手を広げ、米アウトドア衣料品のパタゴニア(カリフォルニア州)と提携、回収から再生まで手掛ける。

 さらに一一年度までには、国内で年間約五万トン生産するポリエステル長繊維の原料をすべて、石油由来原料から再生原料に切り替える計画を掲げる。

 東レも同じくパタゴニアと組み、ナイロン製衣料の再生・回収を進めている。また、衣料品・雑貨専門店の良品計画と提携し、十月から、「無印良品」の店舗で販売するナイロン製バッグなどの製品の回収に乗り出す。ナイロン原料に戻したうえで、再び無印の商品に再加工する。

 原燃料の高騰が収益の重しとなっている各社にとって、省資源・省エネ技術の確立は環境保護だけでなく、企業の競争力に直結する。

 ただ、たとえば三菱レイヨンのアクリル樹脂リサイクルも、必要なエネルギー量やコストは不透明。量産ベースに乗せるには生産効率の向上や設備の大型化が不可欠だ。本格的な事業展開には、製品化したアクリル樹脂の回収の仕組みを確立する必要もある。

 今後、実用化へ向けて各社の技術開発の動きが加速しそうだ。

出典:日経産業新聞


「産業廃棄物 処理業者検索サイト【エコノハ】新着ニュース」

一覧へ戻る