東大、コンクリ廃材でリン回収 下水から分離
2008/09/19
ニュース
東京大学の柳沢幸雄教授らの研究グループは、コンクリート廃材を活用して下水中のリンを回収する技術を開発した。捨てられている廃材を使うため、回収用の材料を購入しなければならない従来技術に比べ、低コストでリンを回収できるという。世界的な需要増で肥料原料のリンは高騰している。研究グループは肥料メーカーなどに協力を呼びかけ、2―3年以内に技術を確立して実用化を目指す。
開発したのは建物を壊して出るコンクリート廃材を原料に下水中のリンを回収する技術。再利用可能な石などを取り除いたあとに砕いて粉末にしたものを、下水汚泥からのリン回収の原料として活用する。通常、この粉末は再利用しにくいため大半が捨てられているという。
下水を処理して出る下水汚泥は脱水して焼却処分される。汚泥を脱水した際に出る水には高濃度のリンが含まれる。
ここにコンクリ廃材の粉末を入れてよくかき混ぜる。粉末中のカルシウムとリンが反応して、リン酸カルシウムを主成分とするハイドロキシアパタイト(HAP)ができる。
下水処理場から取り寄せた実際の処理水を使って実験した。半日で50%のリンを回収できた。粉末の量などをコントロールすることで回収率の調整も可能という。
肥料の品質などを定めた肥料取締法では肥料原料の条件としてクエン酸溶液に溶けることなどが求められている。回収したHAPはこの条件を満たした。重金属の含有量も基準値の10分の1以下だった。
出典:日経速報ニュース