再生業者経営深刻 買い取り競争激化 ペットボトルの価格高騰続く
2008/07/28
ニュース
使用済みペットボトル(廃ペット)の価格高騰が続いている。原油高や中国での需要増を背景に、ごみ扱いだった廃ペットが「有償化」したためだ。自治体が集めた廃ペットの入札価格が、1年で2倍以上に跳ね上がる一方、数量確保を競う再生事業者の経営悪化が深刻になっている。
滋賀県米原市の工場で圧縮や粉砕を行う再生業者は、廃ペットの有償化が進む前から長浜市など2市3町で組織する湖北広域行政事務センター(同市八幡中山町)と、伊香郡衛生プラント組合(西浅井町)が回収した家庭排出分を、1キロ1円で引き取っていた。
「新規業者の参入に伴って入札が始まり、落札できなくなった。処理量は半減、人員も同様」と責任者。現在は学校や病院、事業所などへ交渉に回り、自前回収に苦心する。
自治体や広域行政組合が、廃ペットを売却する際、国が引き渡し先に指定している「日本容器包装リサイクル協会」に登録する「指定法人ルート」と、協会の枠組みとは別に契約した処理業者に出す「独自ルート」が主なルートになっている。
廃ペットは近年、化学繊維などの原材料として中国への輸出が拡大、業者間の買い取り競争が激化した。容リ協が、登録する自治体ごとに行う入札でも、2006年度から単価上昇が顕著になった。
「原油高が国内相場高騰に拍車を掛けた」(容リ協)。06年度に1キロ当たり17円だった平均落札単価は、1年後39円に。指定法人ルートを採る大津、草津、彦根などの市やほかの広域組合の落札結果は、今年度いずれも50円を突破した。
県内自治体から2000トン余りを落札した福井市の再生事業者の役員が窮状を明かした。「高額を支払って必要量を確保している。再生製品値上げは進まず、経営は限界に来ている」
こうした状況の中、国は06年12月の改正容器包装リサイクル法で、海外輸出が国内での再商品化に支障を来しているとし、自治体などに容リ協への引き渡しを求める基本方針を示した。
協会も「独自ルートでは、自治体が業者の処理状況や販路などを確認できていないのが現状」とし、国内リサイクルへの協力を呼び掛けている。
出典:京都新聞