産廃収集時のCO2、永和鉄鋼「VER」で相殺――海外機関発行の排出枠。
2008/07/22
ニュース
産業廃棄物処理の永和鉄鋼(東京都瑞穂町、中島大輔社長)は今月末から、廃棄物の収集、運搬で排出する二酸化炭素(CO2)を排出枠の購入で相殺する。
国連が認証する排出枠(CER)でなく、海外の第三者機関が発行した「VER」と呼ばれる別方式の排出枠を利用する。同方式によるカーボンオフセットは国内では珍しい。地球温暖化への自主的な努力を打ち出して、環境イメージの向上を目指す。
同社が車載メーターで測った廃棄物収集時のCO2排出量は年間千六百トン程度。今回はトルコの風力発電事業で作った千二百五十トン分のVERを購入し、排出量の一部を相殺する。VERの購入価格は四百五十万円程度で、CERよりも二割程度割安だという。
国連お墨付きのCERは京都議定書の国別削減目標の達成に利用できる。削減事業の実施国を途上国に限るなど、承認を受けられる事業の範囲も限定されている。これに対し、VERは第三者機関が承認して設定した排出枠。承認の基準は国連とほぼ同等という。
日本でのカーボンオフセットは政府の排出削減目標達成に寄与するCERの利用が中心だが、欧州では多くのVERが流通している。国ごとの取り決めである京都議定書と関係なく、企業の自主的な取り組みに利用される。また、CERより割安なため、「同じ予算でも、より多くの排出枠を購入できる」(中島社長)。
こうした事情から永和鉄鋼は、VERの利用を選択したという。
永和鉄鋼は産業廃棄物の中間処理などをする事業者。四十二台の大型トラックやトレーラーで廃棄物を運搬している。処理場での排出分は今回の取り組みに含めない。
出典:日経産業新聞