飲料・食品各社、容器や包装材を軽く薄く 環境配慮もアピール
2008/07/22
環境省
飲料、食品メーカー各社は容器・包装材の使用量削減を強化する。サントリーは2009年春から従来品より約1割軽い国産最軽量のペットボトルの採用を拡大。
日本ハムも今年からハム・ソーセージ製品の包装材に初めて従来より2割薄いフィルムを採用した。
原油価格高騰を受けて材料コストを低減するほか、環境対策として消費者にアピールする狙いもある。包装材料を最も使う飲料、食品各社の取り組みにより、包装材の使用削減が進みそうだ。
飲料・食品各社は、代表的な容器・包装材のポリプロピレンフィルムで7割強、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で約4割を使う最大の需要家だ。
ペットボトルや包装フィルムは原油を精製してできるナフサ(粗製ガソリン)を主原料にしている。国産ナフサの価格は7月に1キロリットル当たり9万円を上回り、3年前に比べ2倍以上高い。石油化学メーカー各社は価格上昇分の転嫁を進めており、飲料・食品各社は材料高への対策を迫られていた。
サントリーは09年春から重量40グラムの2リットルサイズのペットボトルを緑茶飲料「伊右衛門」やウーロン茶に採用する。熊本県嘉島町で生産し、主に九州地区に出荷する製品が対象。2製品で合計1500万円ほどのコスト削減効果を見込む。
同社は3月末に最軽量タイプをミネラルウオーターに初めて採用。耐久性に問題がなかったことから、採用拡大を決定。ミネラルウオーターでも採用を広げて、10年には2リットルサイズのうち、6割を最軽量タイプに切り替える計画だ。
日本ハムは2月発売の「ウイニーミニ ファミリーパック」、6月発売の「うす皮ポークウインナー」で20%薄くした樹脂フィルムを初めて採用した。包装材の製造過程で二酸化炭素(CO2)の排出量を従来比10%削減。環境への配慮を掲げ、他の製品にも広げる意向だ。
伊藤ハムは7月発売の冷蔵ハンバーグ「匠の職人」シリーズなど4品で、リサイクル原料を使ったポリスチレン製トレーを初めて採用した。今後、再利用素材を使った包装の比率を高めていく。
容器・包装材の使用削減は樹脂以外にも広がっている。
森永乳業は6月に一本130グラムと従来より47%軽くした宅配用牛乳瓶を全国で導入した。軽量瓶は強度を保つために樹脂コーティングが必要で、製造コストそのものは従来品とほぼ同等だが、輸送の効率化が図れるとしている。
江崎グリコは3月に冷菓「パピコ」の詰め合わせパックの紙製の外箱の厚みを1割削減。菓子「プリッツ」など約10品目の配送では、大型段ボールに替えて従来よりまとめて運ぶようにした。
出典:日経速報ニュース