もみ殻、ストーブ燃料に 道北の企業グループが製造装置
2008/07/10
ニュース
温風・温水暖房装置メーカーの旭設備(旭川市、佐藤次郎社長)など道北を中心とする企業グループは、もみ殻を固めたストーブ用の固形燃料の製造装置の販売に乗り出す。上川地域は道内有数のコメどころだが、もみ殻の多くは捨てている。農業廃棄物を活用し、二酸化炭素(CO2)削減にもつながるバイオマス(生物資源)燃料としてハウス栽培の暖房用などに売り込む。
もみ殻を「ブリケット」と呼ぶ固形燃料とする試みは、旭設備など7社が研究。昨年末に試作にこぎ着けたが、強度が足りず崩れやすいという欠点があった。機械開発会社、トロムソ(広島県府中市)の技術を活用し、もみ殻をすりつぶして圧縮し、らせん状に押し出しながら焼き付けることで強度も高まった。
高騰が続く灯油の道内の小売価格は1リットル当たり120円近い。一方、グループの試算によると、灯油1リットルと同等の熱量を得られる、もみ殻ブリケット(2.4キロ)の生産コストは40円強(人件費や運賃を除く)で、単純比較すれば灯油の3分の1程度の水準だ。CO2発生量も灯油の10分の1程度という。
製造装置の販売価格は500万円(輸送費別)。1日1トンのブリケットを製造できる。販売はグループに参加する前田理工(旭川市、桑畠保夫社長)とアサヒ(札幌市、森敏社長)が担当、上川地域の農家グループや農協を中心に、初年度30台の販売を目指すが、「ゆくゆくは全国に発信したい」(前田理工)。
グループでは、専用の家庭用ストーブやビニールハウス用のボイラーなどの製造販売も計画している。
今後は、燃焼後に発生する灰を土壌改良材として活用するための研究にも着手する考え。
道の調べによると、道内では年間13万6000トン、上川管内で同約3万7000トンのもみ殻が発生。多くは堆肥(たいひ)原料などに使われるが、上川の場合、4分の1近くが未利用のまま燃焼・廃棄されている。
出典:日経速報ニュース