大越工業、フロントガラス用飛散防止膜の樹脂回収し再利用
2008/07/04
ニュース
鉄スクラップ卸の大越工業(福島県須賀川市、大越幸男社長)は、廃車のフロントガラスから飛散防止用中間膜に使うポリビニルブチラール(PVB)樹脂をほぼ100%の純度で回収し、中間膜に再利用する技術を確立した。ガラス類は金属類に比べ回収が難しく、再利用が進んでいない。大越工業は全国で廃車ガラスの買い取りに乗り出す考えで、リサイクル率向上につながりそうだ。
大越工業は経済産業相などが認定する全部再資源化事業者。使用済み自動車の全量リサイクルに取り組んでいる。比較的リサイクルが簡単な金属類だけでなく、ガラスも再資源化する技術を持つ。
今回開発したのは、PVB樹脂を回収し、中間膜として再利用する技術。フロントガラスは衝突時に破片が飛び散りにくいようにガラスの間に中間膜を挟む構造となっている。ガラスを破砕して中間膜を取り出すが、細かいガラス片が付着するため回収が難しかった。
昨夏、福島県の助成を受け、日本大学工学部(郡山市)と共同で実用化を開始。アルコールなどを含む特殊な溶剤で回収する技術を開発したが、溶融分解したPVB樹脂は接着剤としてしか再利用できなかった。今回新たに高温高圧下でかくはんするオートクレーブと呼ぶ機械と純水を使い、ガラス片を分離可能にした。99.99%の純度で回収可能という。
日本では年間約380万台の廃車が発生。このうち約9割は破砕処理され、車両重量の1割弱を占めるガラスも大半が埋め立てられる。廃車の約1割は大越工業などの全部再資源化事業者によって再利用されるが、ガラス類は大越工業などごく一部の業者しか再資源化していないのが現状だ。
政府は自動車メーカーなどに対し、2015年までにリサイクル率を95%以上に引き上げるよう求めている。今後ガラスや中間膜の再利用が進めば、現在80%台前半とみられるリサイクル率は、2ポイント程度の向上が見込めるという
出典:日経速報ニュース