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【よく分かる!!廃棄物問題】#107 原油高の影響

2008/07/04

環境省

□ 原油高の影響

7月2日のニューヨーク商業取引所の原油先物相場は、とうとう1バレル=144ドルという最高値をつけました。

7月からはガソリンの価格も上がり、1リットル=180円台にまでなっています。

資源の高騰は、国民生活全般に悪影響を及ぼしていますが運送業などのガソリンを日常的に使用する事業の場合は、よりクリティカル
に、その悪影響を受けているものと思います。廃棄物処理業もその例外ではなく、特に収集運搬業を営んでいる会社は、運
ぶものが荷物ではなく廃棄物というだけで、運送業と同様の打撃を受けていることでしょう。

増加したコストをサービスの価格に反映しやすい業界と、それが困難な業界の2種類がありますが廃棄物処理業の場合は、運送業と同様に、コストをサービス価格に反映し難い業界です。

もっとも、現時点では、資源の高騰によって、企業の生産活動が減るまでには至っておりませんので、廃棄物自体はそれほど減少していません。

そのため、当分はコスト削減に努めることで、資源高騰に対処することができるかもしれませんが、肝心の廃棄物の発生量が減ってくると・・・

今すぐ、「資源高騰」と「廃棄物市場の縮小」の両面に対応していく必要があるでしょう。

特に、建設系廃棄物などは、今年に入ってから発生量が激減しています。

上記の現象は、資源高騰よりも、むしろ、廃棄物市場が縮小し始めていることが原因と思われます。

資源高騰は、日本のみならず、世界全体の問題となっています。
現在の法体系では、廃棄物処理は国内で完結する建前となっていますがこれだけ資源が高騰してくると、その建前をもう少し緩める必要がありそう
です。

既に、廃プラスチック類は、廃棄物ではなく、資源として海外に大量に輸出されています。

2006年度の廃プラスチックの輸出量は129万トンでしたが、2007年度には151万トンと、17%も増加しています。

特に、「PETくず」は2006年度の27万トンから2007年度は35万トンと、29%の増加となっています。

ただ、ここで注意が必要なのは「廃プラスチックの輸出が増えている」と言っても、石油の代替燃料として輸出が増えているわけではありません。

それは、廃プラスチック類の1kgあたりの輸出価額が年々増加していることからわかります。

PETくずなどは、1kgあたり60円近くをつけています。
PETくずは単一素材でできているため、マテリアルリサイクルしやすい特質をもっています。

某ベストセラー?書が告発するように、ガンガン燃料として燃やされているわけではないのです。

財務省が毎月発表している「貿易統計」をご覧いただくと、輸出数量と価額の推移がよくわかりますので、関心がある方は、下記のURLをご参照ください。

http://www.customs.go.jp/toukei/download/index_d011_j.htm

資源価格の高騰からは、誰も逃れることができません。
それ以外にも、「廃棄物市場の縮小」という、これまた逃れられない現実がすぐそこまで来ています。

問題が現実化する前に、打てる手は打っておきたいところです。
今ならまだ間に合います!


「よく分かる!廃棄物問題」のバックナンバーはこちら

◆出典◆
行政書士エース環境法務事務所
行政書士 尾上雅典
http://www.office-onoe.com/

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