統計資料から読み解く産業廃棄物処理業界の現状
2008/04/07
環境省
◆統計資料から読み解く産業廃棄物処理業界の現状◆
3月7日に、環境省より「平成17年度産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理
業の許可等に関する状況」が発表されました。
http://www.env.go.jp/recycle/waste/kyoninka/kyoninka_h17.pdf
今回のメルマガでは、上記のポイントをご説明したいと思います。
1.産業廃棄物処理施設の設置状況(≒日本全体の産業廃棄物処理能力)
「木くず又はがれき類の破砕施設」と「廃プラの破砕施設」の2つのみが、前年
度と比較して、大幅に増加。良質な(きれいな)木くずや廃プラは、資源として
売却できるためこの2品目の処理を事業化する会社が増えているためです。
地域によっては、採算度外視で、価格のダンピング(処理料金の値下げ)が横行
しているところも・・・
その他、汚泥の脱水施設については、前年度と比較すると28%減と大幅に数を
減らしています。
廃止件数で見てみると、平成17年度だけで1,496件となっています。
これはおそらく、平成17年3月25日付けの規制改革通知により、「汚泥の脱
水施設」の取扱い基準が明確にされ
※ 規制改革通知(下記の2P目)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/reg_ref/tuuti.pdf
従来なら「産業廃棄物処理施設」とされていた脱水施設がこの通知によって「産
業廃棄物処理施設ではなくなった」ため一斉に廃止届を提出した影響と考えられ
ます。
そのため、この現象は一時的なもので次年度以降の施設数は4,800件程度で
推移するものと思われます。
2.産業廃棄物処理業の許可件数(≒処理市場の飽和度)
「許可件数」ですので、「業者数」ではありませんが、業界全体の成長性を図る
指標にはなります。
平成15年度まで急激に許可件数が増加していましたが、平成16年度になり、急にその伸びが鈍化しました。
そのため、個人的には「業者数の増加はひと段落したのかも?」と予測していたのですが今回の発表で、平成17年度の許可件数は再び対前年度比10%以上の増加という現実が明らかになりました。
繰り返しになりますが、重要な点としては、許可件数=業者数ではないということです。
そのため、増加した許可件数はすべてが新規参入者というわけではなく、既存の
事業者が営業エリアを広げ始めた結果であるとも考えられます。
事業者の増加→競争の激化→零細事業者の撤退→事業者の絞込みが進む(寡占化)
というのが世の中の常です。
産業廃棄物処理業界は、いまどの段階でしょうか?
個人的には、後述する行政処分件数の多さとも関係しますが、そろそろ零細事業者の撤退が顕在化するのでは?という予想をしております。
3.行政処分件数の推移
「魔女狩り」のごとき様相を呈していた行政処分は、前年度と比べると落ち着き
を見せてきましたが、それでも年間797件という件数になっています。
処理業の許可件数282,618件に比べると、行政処分の件数はその0.
28%にしかすぎませんが、決して楽観できる数値ではありません。
特に、役員の個人的な犯罪など、会社としては意図していなかった要件で、許可
を簡単に取消されてしまうのが廃棄物処理業の怖さです。
廃棄物処理業を営んでいる方の場合、「気がついたときには遅かった」とならな
いよう、役員の人選には十分に注意を払いたいところです。
出典:行政書士エース環境法務事務所 行政書士 尾上雅典様
行政書士 尾上雅典
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