【出光】千葉にプラスチック油化装置新設|25年度稼働で年間20,000tの廃プラ資源化目指す
2022/09/20
ニュース
東京都千代田区にある出光興産は、広島県福山市の環境エネルギーと使用済みプラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル事業の実証実験を進めていた。
その一環であるプラスチック油化装置の基本設計をスタートさせ、2025年度の本格稼働を目指すと9月13日(火)に発表した。
出光興産は千葉事業所エリアに、HiCOP技術方式の環境エネルギー製プラスチック油化装置を新設する方針だ。
そのプラスチック油化装置を使ってプラスチックから抽出された生成油を千葉事業所内の石油精製・石油化学設備で精製・分解・再合成し、化学品を再生可能な資源に替える「リニューアブル化学品」を生産することで年間20,000tにも及ぶ廃プラスチックの再資源化を目指す。
原料である使用済みプラスチックは、中部や首都圏大手リサイクラーの「前田産業」「市川環境ホールディングズ」と共同調査を実施し、調達態勢の具体化や構築に取り組む。
そのための業務提携の検討も始まっている。
使用済みプラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル事業は、油化装置の技術確立と基本設計を出光興産と環境エネルギー、生成油の引き取りや再精製を出光興産、原料となる使用済みプラスチックの調達を前田産業と市川環境ホールディングスが担当する。
出光興産は、この事業化によって現在の設備を有効活用したプラスチックのケミカルリサイクル・システム(資源循環生産システム)の構築を進めるとし、全国各地にあるグループ製油所でも事業展開する方向で考えているという。
この事業で、事業所・製油所の設備をプラスチックの資源循環活動の足場として有効活用すれば、既にある製造拠点を新しい資源循環・低炭素エネルギーハブへと転換する「CNX(Carbon Neutral Transformation)センター」化に取り組める。
この取り組みによってエネルギー・マテリアル・トランジションを目指し、循環型社会・カーボンニュートラルを推し進める。
出光興産と環境エネルギー社の使用済みプラスチック油化ケミカルリサイクル技術共同開発は2019年度から行われている。
実証実験は2021年から実施してきた。
2025年度の商業稼働スタートに向けて基本設計を行うことに合意したのは、商業設備建設に必要な技術開発の目処が立ったことが背景としてある。
この事業の要となるのは、触媒による油化技術・HiCOP技術で、東京大学や北九州市立大学で名誉教授の肩書を持つHiBD研究所の藤元所長が開発した特許技術「触媒による接触分解方式」である。
触媒を使って使用済みプラスチックを油化すれば、従来の熱分解方式と比べると低い温度で早く分解することがわかっている。
そのため、ワックスが少量しかない品質の高い炭化水素油を生成できると言われている。
炭化水素油とは、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油分の混合油などである。
環境エネルギーは、HiCOP方式の油化技術を用いて、海外を含めた廃プラ油化の事業化を目指している。