食品廃棄物で発電 さがみはらBGPがバイオガス発電所
2022/08/18
ニュース
相模原市で、スーパーや食品工場からの食品廃棄物を電気に変える取り組みが動き出した。
食品廃棄物は、国内で年間300万トン以上にもなる。
6月、相模原市の「さがみはらバイオガスパワー(BGP)」にて、廃棄された食品を発酵させ、発生したメタンガスを利用したバイオガス発電所の建設が着工した。
場所は、相模原市中心部から車で20分ほどの場所で、名称は「さがみはらバイオガスパワー田名発電所」だ。
食品ロスを有効活用し、再生可能エネルギーであるバイオガスを活用することで、脱炭素にもつなげるとしている。
発電所の敷地面積は、約2100平方メートル、総工費は約10億円にのぼる。
完成すれば、1日30トンの食品廃棄物を発電用として受け入れる予定だ。
さがみはらPBGが、首都圏近郊の食品メーカーやスーパー、給食などから排出される食品廃棄物を、処理費用をもらい回収。
廃棄食品を発酵タンクに入れ、発生させたメタンガスを燃料に発電機を稼働させる。
発電出力は487KWで、一般家庭の約1000世帯分の平均電力消費量に相当する。
固定価格買い取り制度(FIT)を通じて、1KWあたり39円/時で東京電力パワーグリッドに売電する予定だ。
二酸化炭素換算では、年間1828トンの削減につながる。
完工予定は、23年3月で、4月には試験稼働を始める予定だ。
「さがみはらBGP」は、食品リサイクルを手掛ける日本フードエコロジーセンター、コンサルティング企業のジャパンインベストメントアドバイザーなど、5社が共同出資して設立。
日本フードエコロジーセンターと、さがみはらBGPの両社の社長を兼任する高橋巧一氏は、「これまで食品廃棄物を飼料にしてきたが、どうしても飼料化できないものがあった」と話す。
日本フードエコロジーセンターは、大手食品メーカーやスーパーの食品工場から食品廃棄物を受け入れ、液体飼料化して養豚場などに販売してきた。
しかし、油分の多いものは飼料としては使えないため、これまでは回収していなかった。
バイオガス発電所ができれば、飼料に適さないものでも発電に回せると説明している。
また、今回のバイオガス発電所では、発酵タンクでガスを取り出した後に残る「消化液」も利用する予定だ。
消化液は、農家向けの肥料として販売する。
農林水産省の発表では、19年度の食品ロスは推計で570万トン。
うち事業系が309万トンに達する。
国連が掲げるSDGsの目標の1つとして、食品ロスの低減が盛り込まれており、国際的に関心が高まっている。
食品リサイクル工場は全国に160カ所程度あるとされている。
高橋社長は「将来は全国展開し、同様の発電所建設を進めたい」と話している。