産廃焼却炉【アクトリー】一般ごみ参入~売上高3割増へ~
2022/01/25
ニュース
産業廃棄物向け焼却炉で国内大手のアクトリー(石川県白山市)は、家庭ごみなど一般廃棄物分野に本格参入することを発表した。
全国の自治体で焼却炉の老朽化や、環境保全を強化するため、建て替え需要が高まっていることに対応するとしている。
同社は、焼却時の熱を回収し、再利用する「ごみ発電」事業も強化に当たる。
2022年3月期で約150億円の売上高を5年間で3割増やし、1日あたり50トンほどの処理能力がある焼却施設を展開していくことを目指す。
石川県白山市の本社近くに部品などを生産する専用工場を新設する予定。アクトリーはがれきなど処理が難しい産業廃棄物でも、800℃以上で安定的に焼却する大型プラントを得意としている。
また、炉の設計技術やごみを安定的に効率よく燃やす手法は一般廃棄物にも通用すると判断した。
一般廃棄物処理施設としては、これまでに鹿児島県与論町や北海道礼文町、2021年には沖縄県与那国町などの焼却施設を納入した実績がある。
事業を通して離島は人口が少なく処理するごみの量が少ない一方、「施設が老朽化し、困っている自治体が全国に多くある」ことを再認識したという。
日本に焼却施設が普及したのは1970年代以降。高度経済成長期に、企業からも家庭からもごみが激増し、公害や疫病を防ぐためにも、焼却施設の需要が高まった。
加えて、環境対策を急ぐ政府の方針もあり、建て替えにより操業コストや環境負荷を低減したいという需要も高まっている。
生産拠点と営業体制を整えて今年から本格参入し、5年後に一般廃棄物処理分野で年間50億円の受注獲得を目指す。
さらに、焼却時の熱を再利用する「ごみ発電」事業も強化する。
「ごみは廃棄物でなく燃料」ととらえており、回収した熱で果樹の温室栽培やフグの養殖、温浴施設へもすでに利用している。
現在、熱エネルギーの回収率は20%程度だが、50~60%に高めるため研究・開発を行っている。
脱炭素を推進するため、2021年には金沢大学と提携し、排ガスの二酸化炭素(CO2)を回収し利用するための研究開発にも着手した。
環境省によると、2019年時点の全国のごみ処理施設は約1000施設。日本人は1人1日あたり918グラムのごみを排出しており、総排出量は東京ドーム約115杯分に匹敵する。
発電設備を有するごみ焼却施設は全体の約36%で、増加傾向にあるという。