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廃プラ対策急務 パナソニックやライオンなど国内リサイクル事例

2020/08/13

ニュース

2017年末、中国は廃プラスチック輸入を全面禁止後、中国に続くように代替国になっていた東南アジアなども輸入規制を強化している。廃プラの処理を輸出に頼ってきた先進国は、国内リサイクルが対策を早急に講じる必要が生じている。

日本政府は廃プラ問題の解決を目指し、審議会を定期的に開催。2020年6月23日も、経済産業省は「第3回中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループの合同会議」を開催し、企業や自治体による、廃プラのリサイクル事例を発表。

【パナソニックの高度なプラスチック選別技術】
サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を目指す、パナソニック。これは、自社で設計、調達から生産、リサイクルまで一貫して企業が行うもの。
2014年度はわずか1万6,000トンだった再生プラの利用量が、2018年度は7万9,000トンと、年々増加に成功してる。
例えば、使用済み家電から廃プラを取り出し、異物を除去し、寿命と強度を回復させて、冷蔵庫のカバーダクト、エアコンのフィルター枠に再利用している。
高度なプラスチック選別技術を持つパナソニックは、再生プラの利用量が好調なわけは、コンベアに流れる、ポリプロピレン(PP)・ポリスチレン(PS)・ABSなど、種類の異なるプラスチックを、近赤外線センサーによって選別し、エアーによって選択的に吹き落とす、という技術を持ち、選別された再生プラの純度は、それぞれが99%以上という高い純度を保持していることにある。
また、植物由来のセルロースナノファイバーを添加した複合樹脂を開発するなど、CO2削減にも取り組み、この複合樹脂は、すでにコードレス掃除機などですでに使用し実用化している。

パナソニックの品質・環境本部環境経営推進部サーキュラーエコノミーユニットの石橋健作氏は「このようなサーキュラーエコノミーの取り組みは、1社だけでは難しいと考えています。今後は競合他社との連携を視野に入れ、循環に最適なサプライチェーンの構築に努めたいです」と考えを示しました。

【ライオンによる「3R + Renewable」の取り組み】
ライオンは、製品に使用する再生プラ、バイオマスプラスチックの使用量を、2050年までに倍増することを目標とし、資源循環型社会に向けて3R(リデュース、リユース、リサイクル)+Renewable(持続可能な資源)を推進。

具体的には、製品の濃縮化や詰め替え用ボトル販売で、プラスチック容器を小さくする、購入回数を減らす、などプラスチックの使用量削減に積極的に取り組んでいる。
ほかにも、台所用洗剤容器は再生PETを使用、衣料用洗剤容器はバイオマスプラスチックを活用することで、再資源化。また、2015年から全国で、使用済み歯ブラシの回収にも着手。これまでに全国で延べ約62万本を回収していますが、ライオンは年間で歯ブラシを数億本販売しているため、もっと回収量増加を目指す。
今後について、同社は、2030年までに容器や包装で使用している、化石資源由来のバージンプラスチックの排出を25%抑制する計画があり、新しい素材や構造の開発、新しい品質基準の設定に取り組んでいるという。

【すかいらーくホールディングス】
すかいらーくホールディングスは、国内外で約3,200の店舗を展開する外食チェーンで、2019年7月に全業態でドリンクバー用に設置されていた、石油由来のプラスチック製ストローを廃止。利用客がストローを必要とする場合は、植物由来のバイオマスストローを提供。
この取り組みにより、プラスチック製のストローを年間約1億本削減し、CO2の排出を年間約67%削減することに成功。さらに、宅配やテイクアウトで利用されるレジ袋(年間使用枚数約1,500万枚)と、ナイフ、スプーン、フォークなどのカトラリーも、石油由来からバイオマスプラスチックに変更。
今後は、2020年内に箸袋をプラスチック製から紙製に変更、2020年の9月からは弁当容器を石油由来のプラスチック以外の素材に変更する方針。

【店頭回収量増加を目指す日本チェーンストア協会】
東急ストア、イオンなどのチェーンストアの企業からなる、日本チェーンストア協会では「環境保全自主的行動計画」を1997年から制定し、「地球温暖化の防止」と「循環型社会の構築」を2大柱とし、商品の容器の高さを低く設計することによる重量の削減や、各種詰め替え商品の販売、食品トレイの店頭回収に取り組んでいる。
しかし、近年は店頭回収量が横ばいか減少の品目が多く、問題点として「回収ボックスへの異物混入や不分別」「回収ボックス増設や回収頻度の変更、人員に関する問題による回収コストの増加」「リサイクル業者がいない、または契約できない地域で処理に苦慮する事例」「回収した資源の運搬に際し、自治体により解釈が異なる点」が挙げられ、これらの解決が急務となった。

【環境問題に取り組む全国地域婦人団体連絡協議会】
1952年に設立された、男女平等の推進、家庭生活や社会生活の刷新を目的とした全国地域婦人団体連合協議会(地婦連)は全国48団体から成り立っている。この団体では、1974年6月25日から、物品販売斡旋を行う「ちふれ化粧品」により、日本でいち早く詰めかえを始め、プラスチック削減に貢献。他にも、ペットボトル回収運動やレジ袋の削減などの活動を、全国にある地婦連では数十年前から実行している。

また、地婦連の一つである、富山県婦人会はマイバッグ持参運動を昭和60年代から展開し、平成20年には富山県内全域のうちスーパーなど28社・208店舗でレジ袋無料配布の廃止をスタート。これは全国で初となる試みで、昨年には小泉環境大臣が視察に訪れ、令和2年7月から開始された全国レジ袋有料化のモデルとなった。
今後については、プラスチックトレイを削減するため、紙主体トレイ・紙トレイ・バイオマスプラスチックトレイなどの代替トレイや、袋・ラップに入れたり、ばら売りしたりするノートレイの導入などのモデル事業を富山県内のスーパーと協力して実施していく方針としている。
岩田繁子会長は「一人ひとりの国民に、地球温暖化の問題にもっと目を向けてもらうため、今後も活動を継続していく予定です」としました。

【プラスチック分別収集で資源化率向上を目指す日野市】
東京都の日野市は、プラスチック類のごみが増加し、その中でも不燃ごみが約8割を占め、資源化率が低迷。その対策として、2020年の1月から不燃ごみに入れていたプラスチックと、無料で回収している発泡スチロール・トレイを「プラスチック類ごみ」として、一括で分別収集を開始している。回収したものはそれぞれ、製品プラはRPF(固形燃料)化し、容器包装プラは日本容器包装リサイクル協会で再資源化。なお、廃プラリサイクルの施設運転費は、年間約1億7,500万円。」このプラスチック分別収集によって、「焼却ごみの削減、廃プラを含む資源化率を令和8年までに45%まで上げる」を目指す。

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