環境産業の市場規模・雇用規模等の推計結果(環境省まとめ)
2015/07/27
環境省
環境省は、再生可能エネルギー分野を始めとする環境産業の市場規模、雇用規模などの推計結果をまとめた「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」を毎年公表しており、今般2013年度版がまとめられた。
同報告書は、「環境産業市場規模検討会」が、環境産業の市場規模・雇用規模の推計や環境産業の付加価値額、輸出入額及び経済波及効果、国内将来市場規模、世界市場規模について、分析、検討されたもの。
近年、環境産業は、環境負荷低減と、経済成長にも貢献しており、「経済・社会のグリーン化」や「グリーン成長」」において重要な役割を担っている。
2013年度の推計結果は以下の通り。
①国内の環境産業の市場規模
全体で93兆2,870億円で過去最高
②全産業に占める環境産業の市場規模の割合
2000年は6.2%、2013年は10.1%
③市場規模( 環境汚染防止分野)
2005年以降石油業界各社が「サルファーフリーのガソリンと軽油を一斉供給したことにより「化学物質汚染防止」分野が増加し、分野全体の市場規模も増加した。
④市場規模(地球温暖化防止分野)
低燃費、排出認定車、ハイブリッド自動車等の成長により、自動車の低燃費化分野が増加。また、再生エネルギー利用の急成長に伴い、クリーンエネルギー分野が大きく増加した。
⑤市場規模(廃棄物処理・資源有効利用分野)
この分野の市場規模は全分野の中で、最も大きいが、2009年の景気後退以降落ち込み、その後、微増傾向にあったものの、2013年は前年に比べ、減少した。
⑥市場規模(自然環境保全分野)
2007年以降は、ほぼ横ばい傾向だが、農林水産省が認定促進を行うエコファーマーを含む「持続可能な農林水産業」分野と、「緑化・水辺再生」分野が増加している。
⑦雇用規模推計結果
国内環境産業雇用規模は全体で約255万人と過去最大(前年比2.3%増、2000年の約1.4倍)
⑧雇用規模推計結果(環境汚染防止分野)
市場規模が増加しているのに対し、雇用規模は、ほぼ変化はないが、環境経営支援分野は、労働集約型の産業が多いため、全体に占める割合が大きい。
⑨雇用規模推計結果( 地球温暖化防止分野)
概ね、増加傾向で、特に再生可能エネルギー利用の成長により「クリーンエネルギー利用」分野が前年比で約8万人増加した。
⑩雇用規模推計結果(廃棄物処理・資源有効利用分野)
全体の雇用規模は、前年比で減少したが、一人当たりの売上高が低い傾向にあるため、雇用面では、全体の増加に寄与した。
⑪雇用規模推計結果(自然環境保全分野)
分野全体では、2010年にかけて概ね増加傾向だったが、それ以降は減少。農林水産省が認定促進を行うエコファーマーを含む「持続可能な農林水産業」が大きな割合を占める。
⑫環境産業の付加価値額の推定
市場規模の推移と概ね同じ傾向にあるが、地球温暖化対策分野の付加価値が比較的低いことから、2009年以降、付加価値額の増加傾向は市場規模と比べ、緩やかな傾向にある。
⑬環境産業の負荷価値額の推定(全産業との比較)
環境産業の負荷価値額は、概ね増加傾向にある。GDPに占める環境産業の負荷価値額の割合は、2000年は5.5%だったのに対し、2013年は8.4%と増加。
⑭環境産業の経済波及効果の推定
2013年の環境産業の経済波及効果は約174兆円と、市場規模の約2倍。環境産業に占める地球温暖化対策分野の経済波及効果の割合は、製造業が多いことから、市場規模の割合と比べ高くなっている。
⑮環境産業輸出入額の推定
輸出額は、2013年に10兆円、輸入額は3兆円を突破。輸出では、地球温暖化対策分野が急速に増加している。同分野では、「低燃費・排出認定車」「ハイブリッド自動車」が大きな割合を占める。輸入では、グリーンエネルギー利用が、市場拡大に加えて輸入率も高く、これを含む地球温暖化対策分野が大きく増加した。
上記結果により、環境産業は、我が国の経済成長に与える影響は大きいとわかる。