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奈良県香芝市と王寺町が共同運営するごみ処理施設の地元対策費をめぐり対立

2022/01/11

ニュース

香芝市、王寺町の両市町は、家庭ごみなどの一般廃棄物を1982年から香芝市にある美濃園という施設で共同で処理してきたが、施設の老朽化により、隣接地に新しい施設の建設を開始した。

しかし、新設に伴う周辺道路の整備費や地元対策費をめぐって一部負担を求める香芝市と、拒否する王寺町とで議論が平行線をたどっている。

香芝市は新施設整備に伴って、市内の4自治会と2014~16年に市道の新設や地域交流センター建設についての覚書を締結している。市によると、市道新設の総事業費約13億円を含む地元対策費は約19億円になる。

香芝市議会が今年8月に王寺町に提出した意見書によると、「地域住民らの理解を得るために地元対策事業は必ず実施しなければならない。香芝市財政にのみ負担を課そうとする姿勢は、両市町の信頼関係を大きく揺るがす」と主張している。

しかし、王寺町はこれらの地元対策は香芝市が王寺町との協議をせず、独自に自治会と決めたと考えている。

これまで、施設の運営は両市町が設立した一部事務組合で話し合って決めてきた。例えば、施設の建設や修繕、管理運営は、組合で協議し、両市町の分担金などでまかなってきた。

ごみの運搬など施設外の事務については各市町で運営している。地元対策も必要に応じてそれぞれで行われてきた。

そのため、王寺町は今回の地元対策はいずれも香芝市が主体となっている事業という認識で、施設運営における共同事務にあたらないとする見解を町ホームページで公表している。

王寺町の見解に対し、香芝市も市議会のホームページで市の見解を公開した。過去に地元対策費の一部を王寺町が負担した経緯を示し、「地元対策はそれぞれの自治体で行ってきた」とする王寺町の見解を否定している。

一部事務組合には市議と町議それぞれ4人ずつで構成される議会があるが、今年10月、王寺町に新たな費用負担を求める条例案が香芝市議から提案され、香芝市議4人が賛成して可決された。王寺町議は反対したけど、4人のうち1人は議長だったから議決に参加できなかった。

条例は、香芝市議会が王寺町に提出した意見書にもとづく内容で、両市町が共同で処理する事務に地元対策が含まれることを規定。別の条文には、地元対策の費用は施設がある自治体に対し、ほかの自治体が一部を負担する旨の記載がある。

王寺町は、議決は「数の論理」だとして、施設の管理者である香芝市の福岡憲宏市長に議決のやり直しを求めたが、条例に違法性がないとの理由で認められなかった。

香芝市はこれまで組合規約であいまいだった箇所を条例で明確に定めたとの認識だが、王寺町は強引な手法で物事を進める香芝市側の姿勢に、当事者間での解決は難しいと考えている。

王寺町は、第三者である自治紛争処理委員による調停を、年内にも県に申請することを決めている。

調停は県知事が識者らから任命する委員3人が、当事者に聞き取るなどをして問題解決を図る仕組みである。調停が成立しない場合、王寺町は訴訟も視野に検討するといい、両市町の対立はまだまだ続くことが予想される。

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