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首都圏は数年で満杯 処分場探す387万トン

2022/04/25

ニュース

産業廃棄物が処分場を求めて日本列島を移動している。
2019年度に1都6県で出た産廃のうち約387万トンが関東地方を離れ、北海道から沖縄までの各地で処分されました。
環境省の推計では、山梨県を含む首都圏の処分場は20年代後半にも満杯になると予想されており、処分場の新設数が減少の一途をたどる中、産廃とどう向き合うか日本は切迫した課題に直面しています。

3月中旬の午前6時ごろ、東京都内などで排出された産廃を積んだ大型トラックが埼玉県内のごみ処理施設を出発した。
向かったのは約120キロ離れた栃木県那須塩原市。
東北自動車道を下りて林の中の砂利道を抜けると、ようやく最終処分場にたどり着いた。

1998年に稼働した処分場の埋め立て容量は約12万3000立方メートルあり、五輪などで使う競技用プール約50杯分にあたる。
トラックの荷台からは、指先よりも細かく粉砕された東京都内の住宅やビルなどの廃材が埋められた。

地球温暖化を背景に環境意識が高まる中、産廃のリサイクル技術は向上しているが、処分場を運営するさいたま市の産廃会社は「産業活動が続く限り産廃はなくならない」と言い切っている。

環境省によると、19年度に関東地方で発生した産廃は約1億トンで、このうち約387万トンが関東地方の外へ運ばれて処分され、その量は増加傾向が続いている。
脱水や焼却、リサイクルなどの中間処理を経てなお処分できない約85万トン分が最終処分場に埋め立てられた。

輸送コストなども考慮し、産廃はできる限り発生場所の近郊で処分されるのが一般的だが、首都圏では最終処分場の埋却容量が限界に近づいているため、このような施策をとっており、環境省は19年時点で、首都圏の最終処分場が残り6年半で埋め尽くされると推計している。

同省によると、19年度は関東地方の外に運ばれた約387万トンのうち、約118万トンが北海道・東北地方へ、約61万トンが九州地方・沖縄へと処理施設を求めて移動した。

自治体に処理責任がある家庭ごみなどと異なり、産廃の処理責任は排出した事業者にある。
発生から最終処分まで民間の取引だが、千葉県の産廃会社は「新設される処分場が減り、遠方に運ぶしかない」とも言っている。

環境省によると、18年度に新設が認められた最終処分場は全国12カ所で、産廃の不法投棄が社会問題となったことなどを背景に登録制から許可制に移行し、1998年度の136カ所から1割以下に減った。

北陸地方で最終処分場を建設中の東京にある産廃会社の担当者は「住民側の理解を得るのに10年以上かかった」と明かしている。
処分場は住民側から誘致する動きがあり、同社が新設に乗り出したが、地元で建設中止を求める署名活動が展開された。

地元の男性(70)は「処分場が必要なのは理解できる。ただ都会のごみを受け入れるのは複雑だ」。
土壌や水質に影響がないことなどの説明を重ね、着工にこぎ着けた過去もある。

千葉県の産廃会社は東北地方での処分場建設計画を2年ほど前に断念した。
住民らの反発や自然保護団体の抗議活動に加え「自治体にも産廃の不法投棄に手を焼いた経験があり、協力姿勢を見せてくれなかった」と語る。

九州大の島岡隆行教授は「このまま処分場が減れば、行き場を失った産廃の不法投棄が増える恐れがある」と話す。

政府は産廃のリサイクルを推進しているものの、処分場の確保には積極的に関与していない。島岡教授は「政府は民間任せにするのではなく、海洋処分などの選択肢を増やす検討を始める時期に来ている」と指摘している。

進むリサイクル、5割は再生資源 タイヤは処理難しく

産業廃棄物のリサイクルは進んでいる。
環境省によると、2019年度に排出された産廃の53%が鉄くずなどの再生資源としてリサイクルされている。
20年前と比べるとリサイクル率は10ポイント上昇もしている。

素材によってリサイクルのしやすさは異なり、がれきは砕けばコンクリートなどの原料になり、金属類も溶かせば再生可能で、いずれも96%がリサイクルされた。
一方でゴムは再生が難しく、リサイクル率は63%と比較的低い。
自動車のタイヤなどは処理できず、不法投棄につながることもある懸念点も問題として残っている。

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